オクラ・ししとう

夜中に考えるああでもないこうでもないを貴方に❤️

父のあの時の、あの言葉について。

祖母、言い換えて母の母親は、49歳で亡くなっている。癌である。

父は、その祖母のことを罵った。

俺の母はあまり料理が上手とはいえない。たまに味付けの加減をめちゃくちゃに間違える。

その時代の女性としては、親から家事修行を受けていなかった、ということらしい。

父が吐き捨てた。

くも膜下出血になって、治ったと思ったらすぐに癌で死ぬとは、お前(母)の親は無責任もいいとこだな。ろくに子育てもしないで。」

母も俺もいるリビングで、である。

ひでえもんだと思っていた。が、今日歩いていたら、ひとつの解釈が浮かんだので、説明を試みる。

 

実は父も、10年前に大病を患った。会社経営をしていた父は、競合会社に営業先を奪われていくのを病床で電話越しに聞き、赤字を恐れ、同時に養わなければいけない家族を抱えている事実に焦りながら、病による激痛に苛まれた。

それでも姉や俺の受験、一家の資産運用など、家族という荷を降ろせなかった。

父は会社を畳み、結局死なず、病は引いた。以後定職にはついていない。

「俺は家族のために地獄の苦しみを耐え抜いたというのに、妻の母親はなんて無責任な」ということか。

(俺も留年などしてる場合ではないのだが・・・)

 

10年来の友人がいる。高校2年のとき、彼の父は重度の糖尿病から2次的疾患を起こし、あっという間に亡くなった。社会的には、紛れもなく「不幸」である。

続きがある。彼の父には多額の保険金がかかっていた。それに加え、それなりの額の遺族年金が入った。

彼の母はそのお金のおかげで仕事をやめ、有閑マダムに。そして友人は真っ先に一等地の土地の権利と金融資産幾ばくかを手に入れた。

その父は、医者の言うことを聞かず、病院を出ると板チョコを3枚重ね食いし、風呂では架空の上司との会話を繰り広げ、いつまで経っても昇任試験を受けないヒラだったという。

現状はいいんだか悪いんだか、と思った。